いまほこ君雄による愛川町のなぜ、どうしてを調べるブログ

愛川町政の透明性を高める活動をおこないます

孫引き(引用の引用)その2〜「猫は年4回出産する」〜

前回もお伝えしたように、猫が年間4回出産するとの記載を町のホームページで確認しました。町への問合せについて、環境省の資料を参考にしているので環境省に質問してくれとの回答でした。環境省から回答を得たので、その回答に対して質問を本日環境省に送りました。不明な点は前回のブログ『孫引き(引用の引用)』をご覧いただくとわかりやすいと思います。

※町役場への質問は問合せフォームから行なっているので手元に残っておりません(多分)

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町役場環境課からの回答

今鉾 君雄様

 平素よりお世話になっております。
 ホームページのお問い合わせについて回答いたします。
 猫の出産回数につきましては、環境省資料において1年に2~4回とされておりますことから、町ホームページにおいては、その資料を参考にしております。
 また、1回あたりの出産頭数については町ホームページでは3~5頭としておりましたが、環境省資料に合わせ、4~8頭に修正いたします。
 なお、猫の出産回数等についての科学的根拠につきましては環境省へお問い合わせ下さい。
 この度は貴重なご意見をいただきありがとうございました。

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愛川町役場環境経済部環境課 
TEL:046-285-2111
Mail:kankyo@town.aikawa.kanagawa.jp
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環境省への質問

ご担当者様

内容 :パンフレット『ふやさないのも愛』3ページ目のNo.5 「猫は1回の出産で4〜8頭の子猫を産み、1年に2〜4回の出産が可能です。」のエビデンスを教えてください。
    特に年間4回出産できる状況が良くわかりません。よろしくお願いします。コールセンターには問合せ済です。
 
今鉾君雄   

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環境省からの回答

今鉾君雄 様

 

お問い合わせいただきありがとうございました。以下回答させていただきます。

年間4回出産できる状況につきまして、そういったケースが猫の繁殖サイクル上想定され得るとともに、実際に確認されていることを掲載の根拠としています。文末の参考資料をご参考にしていただけますと幸いです。

具体的には、出産後哺乳しなかった母猫においては、平均21.9日で次の交配が成立したという報告があります(※P85右列)。その報告を基に、妊娠期間を64.9日(※P85左列) と仮定し、実際に出産後哺乳しなかった母猫または人為的に離乳された母猫が、仮に21.9日後に交配・妊娠が成立すると、理論上年4回の出産が可能と考えられ、本パンフレットに掲載しています 。

参考情報ですが、年間4回出産した個体を確認しているとの自治体職員からの報告もあります。生まれたばかりの子猫を母猫から引き離し、保健所に持ち込む等し、残った母猫が程なく交配成立、再び妊娠出産というサイクルに入り、年間4回の出産が成立したとのことです。

 

※参考資料

信永利馬、岡本道生、高橋和明(1972)。小ケージ内におけるネコの繁殖成績

家畜繁殖誌 22巻3号

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrd1955/22/3/22_3_82/_pdf

 

From: KIMIO IMAHOKO <imahokocontact@vocsotoneko.com>
Sent: Monday, April 17, 2023 1:20 PM
To: moe (業務用ID) <moe@env.go.jp>
Subject: 猫の出産回数のついて    

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本日環境省に送った内容

回答ご担当者様
愛川町にありますVOC外猫診療所の獣医師の今鉾と申します。先日ご回答(2023年5月2日14:08)いただいた件で追加で幾つか質問させて下さい。
「小ケージ内で育成飼育したネコの繁殖成績(以下資料)」について、貴殿は出産後哺乳しなかった母体の次の交配日を平均21.9日、妊娠期間を64.9日と仮定して、理論上年4回の出産が可能としております。(21.9+64.9)×4=347.2<365というこですね。さて、この資料のP84左には「出産は年間を通じて見られ、総腹数84腹における月別出産状況をみると、とくに8月、11〜1月、5月に多かった」、「交配数には時期的に増減があり10〜12月、3〜6月に多くなる傾向が見られ、出産は5月、5月及び11〜1月が多くなっている。このことは日照時間が短縮する季節に発情個体が多くなることを実験的に証明したSCOTT & LLOYD-JACOB の報告と多少異なり、今後の検討に興味がもたれる。」とあり、1個体での出産回数は示されないものの、少なくとも実際出産するピークが2〜3であることが示されている。貴殿はこの資料をもって理論上年4回の出産が可能であるとの根拠にしてあり、こちらが指摘したパンフレットのエビデンスとしているが少々無理があるのではないでしょうか。加えて、この資料の目的が「日本のイエネコを実験動物化する目的で、1969年2月から小ケージ内繁殖を試みた」とあります。サマリーにも年間出産回数については言及されていません。ついでに、参考情報として、「年間4回出産した個体を確認しているとの自治体職員からの報告もあります。生まれたばかりの子猫を母猫から引き離し、保健所に持ち込む等し、残った母猫が程なく交配成立、再び妊娠出産というサイクルに入り,年間4回の出産が成立したとのことです。」を示しているが、同じ個体であるかの確認、そもそも無条件に引き取り避妊させない、等参考情報にはほど遠いものを提示されてもこまります。筆者の愛川町役場では専門職である獣医師はおりません。野良猫に関する町のホームページ上の情報は環境省の情報を写すのみです。いわゆる孫引きしかできません。再度ご説明いただくとありがたいです。
 
今鉾 君雄
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[いまほこ君雄より]
少々読むのが面倒かもしれませんが、筆者の専門分野であり、知識も深めたいので色々議論しております。次回の回答到着しましたら最終まとめに入ります。