いまほこ君雄による愛川町のなぜ、どうしてを調べるブログ

愛川町政の透明性を高める活動をおこないます

集団における多様性〜大磯町議選、厚木市議選の結果から期待されること【追記有り(8/20)】

 先程、大磯町議会議員選挙、厚木市議会議員選挙が行われ、その結果について筆者の考えをお伝えしたいと思います。内容としてはシンプルな話ではあるのですが、皆さんが納得していただけるようにするのにはそれなりの根拠等も必要かと考えました。3つに分けて順にご説明します。
(1)大磯町議会議員選挙、厚木市議会議員選挙の結果について新人議員の数とその割合
(2)ジェームズ・スロウィッキー著、小高尚子訳『「みんなの意見」は案外正しい』の中で紹介されたソロモン・アッシュの実験の話
(3)愛川町議会議員現職の議決結果の傾向と筆者の推測
 
 
(1)大磯町議会議員選挙、厚木市議会議員選挙の結果について新人議員の数とその割合

 
表からも分かるように大磯町では14人中3人が新人、厚木市では28人中6人が新人で、奇しくも新人の割合がどちらも21.4%でした。
後に分かるのですが、1人ではないことが重要です。
 
(2)ジェームズ・スロウィッキー著、小高尚子訳『「みんなの意見」は案外正しい』の中で紹介されたソロモン・アッシュの実験の話
 
※注意:引用の引用(いわゆる孫引き)で、筆者はソロモン・アッシュの論文には目を通しておりません。
 
ジェームズ・スロウィッキー著、小高尚子訳『「みんなの意見」は案外正しい』(P.57〜P.58)より
【以下引用】
 ソロモン・アッシュが行った実験では、参加者に白いカードに書かれた線と同じ長さのものを別のカードに書かれた3本の先から選んでもらった。毎回実験に参加した7〜9人程度の集団の中で、被験者はたった1人で残りは全員アッシュと共謀していた。彼は被験者が列の一番最後になるようにして、それ以外の実験参加者に自分の意見を順々に言わせた。
 実験に使われた12枚のカードのうち、最初の2枚に関しては全員が同意見だったが。だが、3枚目以降、アッシュはサクラたちに白いカードに書かれている線とは明らかに違う長さの線を選ばせた。被験者は自分以外の人間全員が明らかに間違っていると思う選択をする様子を目の前で見せられたのである。当然、被験者はうろたえ、びっくりしてカードに書かれた線をいろいろな角度から眺めた。線をもっとよく見ようと立ち上がったり、動揺を隠すためか軽口を叩いたりする人もいた。
 ここで重要なのは、かなりの数の被験者が集団の理論に従い、カードに書かれた線とは明らかに長さの違う線を「同じ長さだ」と言った点である。ほとんどの被験者は自分が本当に思ったことを口にしたが、被験者の7割は少なくとも1回は自分の意見を曲げたし、被験者の3分の1は少なくとも2回に1回は集団の論理に従った。実験後にアッシュが被験者に話したところ、彼らの多くは集団に逆らいたくなかったと語った。彼らは自分が最終的に選んだ先が正しいとは思っていなかったが、目立ちたくなかったので集団に同調した。
 アッシュはさらに実験を重ね、もう一つ重要な点を明らかにした。人々はどう考えても自分の意見が正しいと確信していても集団の論理にあっさりあっさり従ってしまう一方で、彼らが集団の論理に従わないようにするのも決して難しくないということだ。ある実験では、集団の論理に従わず正しい長さの先を選ぶサクラを1人仕込んでおき、うろたえる被験者に味方を与えた。すると、それだけで大きな違いが生まれた。自分と同じように感じている人が1人でも集団にいると、被験者は自分が思った通りのことを言えるようになり、集団の論理に従う人の割合は激減した。
 多様性には、集団に新しい視点を加えるだけでなく、集団のメンバーが自分の本当の考えを言いやすくするメリットもある。次章で取り上げるが、意見の独立性というのは集団が賢明な選択をするのに必要不可欠でありながら、維持が極めて難しい要素である。多様性は独立性の確保に不可欠なので、多様性がない賢明な集団なんて考えられないのである。
                                                          【以上】
 
まとめると以下のようになります。
 
ソロモン・アッシュは、1950年代に「集団圧力実験」を行い、人々が集団の意見に同調する心理的現象を明らかにしました。
 
実験では、参加者が白いカードに書かれた線の長さを判断する課題を行いました。最初の2枚では全員が同意見だったが、その後は意図的に間違った選択肢を提示して、参加者に集団の意見に同調するかどうかを観察しました。
 
結果として、多くの参加者が集団の意見に従い、自分の正しい判断を捨てることがわかりました。しかしその一方で、一人でも正しい判断を示す参加者がいると、他の参加者も自分の意見を言いやすくなり、集団の同調が減少したという結果も出ました。
 
この実験は、集団内での意見の多様性の重要性を示しており、集団が賢明な判断をするためには、異なる視点や意見を持つ多様性が重要であることを示しています。集団が意見の独立性を保つことが難しい場合、多様性が重要な要素となることが理解されています。
 

▲図はウィキペディアより
 
(3)愛川町議会議員現職の議決結果の傾向と筆者の推測

議員名を明らかにしておりませんが、議決が議会での会派により比較的同じような傾向にあるようにみられます。この表だけで、愛川町議会という集団の多様性を議論することは出来ません。しかし、10月に行われる選挙の結果次第では議決の傾向が大きく変るかもしれません。既に結果の出ている大磯町や厚木市の様子にも注目したいところです。
【追記:8/20】
議決の表で(ー)表記は議長の任であった議員を示します。